日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペーズリー(模様)」の意味・わかりやすい解説
ペーズリー(模様)
ぺーずりー
paisley
エキゾチックな勾玉(まがたま)形の模様。小紋風のものから、大柄なものまで大小さまざまあり、模様の内部に数個の小さいペーズリーを入れ、その中にさらに微細なペーズリーを二重、三重に入れ込んだ複雑な形式をとるものもある。これはインドの植物マンゴーmangoの果実の形を便化したものと考えられ、唐草のモチーフにこれを使った古典的なペーズリーのほかに、単独にこれを散らし模様風に表した近代的なペーズリーもある。東洋風なペーズリーが比較的丸形であるのに対し、ヨーロッパ風なペーズリーは細く長い形式をとる。インド北部のカシミール地方でつくられた、手織りのショールに使われたのが起源で、18世紀初頭、イギリス、スコットランドのペーズリー市に移入され、19世紀に大流行した。今日も婦人服地、スカーフ、ネクタイなどの模様として、幅広く愛用されている。
[村元雄]