日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ヒューム(Lord Kames Henry Home)
ひゅーむ
Lord Kames Henry Home
(1696―1782)
スコットランドの判事、哲学者。家庭教師から教育を受けたのち、科学・哲学・法律などの研究に専念し、『1716年から1728年に至る高等民事裁判所の見事な判例』(1728)によって才能が認められる。1752年にはケームズ卿(きょう)の称号を受け、1763年に高等法院判事となる。アマチュアの農学者としても知られ、自ら庭園を設計。文学が人間の精神内部に引き起こす具体的・生動的イメージ、一種の夢想、有徳の共感的情動などを考究した『批評原論』Elements of Criticism(1762)はドイツ語訳(1763~1766)を含め40以上の版が出版され、アメリカでは19世紀末に至るまで修辞学の教科書として用いられた。
[相沢照明 2015年7月21日]
『William C. LehmannHenry Home, Lord Kames, and the Scottish Enlightenment (1971, Martius Nijhoff, New York)』