パレスチナ分裂(読み)ぱれすちなぶんれつ

知恵蔵 「パレスチナ分裂」の解説

パレスチナ分裂

パレスチナ自治区ガザで2007年6月、イスラム過激派ハマスの武装部門が、パレスチナ解放機構(PLO)主流派のファタハが主導する治安警察本部を武力で制圧した。ハマスとファタハは07年3月に統一政権を樹立したが、ヨルダン川西岸をおさえるアッバス議長は統一政権のハニヤ首相(ハマス)を解任し、非常事態内閣を発足させた。 米欧はアッバス政権を支持し、06年1月にハマスがパレスチナ自治評議会選挙で過半数をとって政権を握って以来、凍結していた支援や援助の再開を約束し、アッバス議長とオルメルトイスラエル首相との首脳会談も始まった。イスラエルがガザ自治区への産業原材料の搬入を全面禁止するなど、経済封鎖を行い、07年10月にはガザの主要病院で医薬品が不足し、人道的な危機が進んだが、ガザでのハマス支配が揺らぐ兆しはなく、パレスチナ分裂は続いている。

(川上泰徳 朝日新聞記者 / 2008年)

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