バルザーニ(英語表記)Barzānī, Muṣṭafa al-

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バルザーニ」の意味・わかりやすい解説

バルザーニ
Barzānī, Muṣṭafa al-

[生]1903.3.14. イラク,バルザン
[没]1979.3.1. アメリカ合衆国,ワシントンD.C.
クルド人の軍事指導者。イラン,イラクおよびソビエト連邦の国境付近に広く暮らす数百万人のクルド人の独立国家建設のために 50年にわたって闘った。地主の息子として生まれ,第1次世界大戦から 1930年代末までクルド人の民族闘争を率いた兄のシェイク・アフメドのあとを継いだ。1946年,ソビエト連邦の援助でイラン北西部に樹立されたクルド人民共和国(マハーバード共和国)の軍司令官として頭角を現す。1947年のソ連軍撤退後に同共和国が建国からわずか 1年でイラン軍に打倒されると,ソ連のアゼルバイジャン共和国亡命,1958年のイラク革命後に帰国した。その後,イラク北部のクルド人居住区に自治権を与えるイラク政府の提案を拒否し,1960年にイラク軍に対するゲリラ闘争を開始。1974年イラク政府はクルド人に自治権を与える法律を施行するがこれも拒否し,イランから大幅な援助を得て,みずから率いる民兵組織「ペシュメルガ(死を恐れず突き進め)」に戦闘再開を命じた。1975年にイランからの支援が停止すると,クルド人勢力はイラク軍に制圧された。イランのテヘランに居を定めたがその後アメリカ合衆国に亡命,そこで生涯を終えた。遺骨故郷に埋葬された。(→クルド人問題

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