バリモント(英語表記)Konstantin Dmitrievich Bal'mont

精選版 日本国語大辞典 「バリモント」の意味・読み・例文・類語

バリモント

(Konstantin Dmitrijevič Bal'mont コンスタンチン=ドミトリエビチ━) ロシア詩人初期ロシア象徴主義の代表者一人現実逃避破滅、悪の賛美などを唯美主義的に詩作した。西欧詩の翻訳者としても名高い。詩集「燃える建物」など。(一八六七‐一九四三

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デジタル大辞泉 「バリモント」の意味・読み・例文・類語

バリモント(Konstantin Dmitrievich Bal'mont)

[1867~1942]ロシアの詩人。ロシア象徴主義の初期の代表者。また、西欧詩の翻訳でも活躍。作「太陽のごとくあれ」など。

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改訂新版 世界大百科事典 「バリモント」の意味・わかりやすい解説

バリモント
Konstantin Dmitrievich Bal'mont
生没年:1867-1942

ロシアの詩人。1890年代の半ばから1903年にかけて,ロシア詩の象徴主義運動を指導する,最も人気ある詩人であった。ニーチェの影響を受け,〈善悪を超えた〉極端な個人主義を鼓吹して,世の耳目を驚かした。初期の詩はロマン主義的な傾きを示していたが,やがては太陽や海,風など,巨大なイメージにまで自己を高めていき,宇宙と一体化する一瞬至福を歌った。中間韻,頭韻に富み,音の響きの豊かさによって読者を魅了した。しかし,イメージの単調さから,1903年以降人気は急速に衰えていった。その後もときおりよい詩は書いたが,影響力は失った。代表的な詩集は《無限の中で》(1895),《燃える建物》(1900),《太陽のようになろう》(1903)。20年に外国旅行の許可を得て出国,そのまま亡命し,貧窮の中で最後には気も狂って42年に死亡した。なおバリモントは当時としては大旅行家であり,1916年には日本を訪れている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バリモント」の意味・わかりやすい解説

バリモント
ばりもんと
Константин Дмитриевич Бальмонт/Konstantin Dmitrievich Bal'mont
(1867―1942)

初期ロシア象徴主義を代表する詩人。地主貴族の家に生まれる。1886年モスクワ大学に入学したが、学生運動に参加して放校となった。自殺未遂事件のあった90年ごろから詩人としての自覚を深め、94年から1904年にかけてもっとも人気を集めた。その詩は頭韻、内的韻などを多用して、きわめて音楽的であり、音調のよさ、音響の豊かさに特色がある。風、海、太陽、炎など自然や宇宙の根源的な力に自分の詩や自らをなぞらえる強烈な自我主張を行った。代表的な詩集は『北方の空の下で』(1894)、『無限の中で』(1895)、『燃える建物』(1900)、『太陽のようになろう』(1903)など。あまりにスローガン的にすぎて単調になりやすく、しだいに影響力を失っていったが、その後も筆の抑制がきいた場合は、よい詩を書かなかったわけではない。西欧詩の翻訳家でもあって、シェリーホイットマン、ポーなどの優れた翻訳がある。世界各地を旅行した旅行家でもあった。1917年の革命後に亡命、晩年は孤独と窮乏のなかで過ごし、パリ近郊で没。

[小平 武]

『黒田辰男著『ロシヤ・シンボリズム研究』(1979・光和堂)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バリモント」の意味・わかりやすい解説

バリモント
Bal'mont, Konstantin Dmitrievich

[生]1867.6.16. ウラジーミル
[没]1942.12.23. パリ近郊
ロシアの詩人。前期象徴主義の代表者として,詩集に『静寂』 Tishina (1898) ,『燃える建物』 Goryashchie zdaniya (1900) がある。 1905~07年には世界各地を旅行,エジプトをうたった『オジリスの国』 Krai Ozirisa (14) ,インドネシアをうたった『白い建築家』 Belyi zodchii (14) などの異国情緒あふれる作品を残した。 21年に亡命,ヨーロッパで創作活動を続けた。

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世界大百科事典(旧版)内のバリモントの言及

【育児囊】より

…育児囊に依存する期間は長く,アカカンガルーでは235日である。単孔類のハリモグラの雌はからだの後端を折りまげて,胎児の入った卵を腹部の卵囊の中へ1個生み落とす。孵化(ふか)した子は7~9週間ここで哺育される。…

※「バリモント」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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