ハーシェル効果(読み)ハーシェルコウカ

化学辞典 第2版 「ハーシェル効果」の解説

ハーシェル効果
ハーシェルコウカ
Herschel effect

ハロゲン化銀写真において,露光後に赤外線または赤色光を照射することで写真濃度が低下する現象をいう.赤外線写真や特殊写真効果を得るために利用される.機構的には,潜像を形成している銀の集合が長波長光のエネルギーを吸収して崩壊するためと考えられている.ハーシェル効果をもっとも顕著に起こす波長は740 nm 付近であるが,この光エネルギーは,潜像銀の電子エネルギー準位とハロゲン化銀結晶の伝導帯下端とのエネルギー差に相当する.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハーシェル効果」の意味・わかりやすい解説

ハーシェル効果
ハーシェルこうか
Herschel effect

写真乾板フィルムを,青色光または紫外線に露光したのち,赤色光または赤外線にもう一度当ててから現像すると,初めの露光による黒化度が弱まる現象で,発見者 J.ハーシェルの名にちなんで命名。初めの露光によってできた現像核 (潜像) の中性銀が,赤色光または赤外線によってイオン化され,潜像が消滅するためと考えられている。この効果は赤外線写真や特殊な写真表現手段に利用されている。

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世界大百科事典(旧版)内のハーシェル効果の言及

【赤外線写真】より


[特殊な赤外線写真]
 銀塩を使った写真フィルムは,撮影後,赤色光や赤外線を一様に照射すると撮影によってできた潜像が破壊されて現像できなくなる。これをハーシェル効果Hershel effectという。これを利用して赤外線写真を撮影することができる。…

※「ハーシェル効果」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」