テイコ酸(読み)テイコサン

化学辞典 第2版 「テイコ酸」の解説

テイコ酸
テイコサン
teichoic acid

タイコ酸ともいう.ペプチドグリカンにつぐ主要な細胞壁成分で,グラム陽性菌の細胞壁に存在する生体高分子.細胞壁中50% 以上(乾燥重量当たり)を占めるポリオールリン酸重合体である.グリセリンを含むものとリビトールを含むものとの二つのタイプがあり,それらがリン酸とジエステル結合をして主鎖をなしている.D-グルコース,N-アセチル-D-グルコサミン,N-アセチル-D-ガラクトサミン,D-ガラクトース,D-マンノースなどが側鎖,あるいは主側に含まれている.Staphylococus lactisの細胞壁から得られたものは次の構造を示す.グリセリンテイコ酸はリビトールテイコ酸よりも広く見いだされている.テイコ酸の強いマイナス荷電は金属イオンの保持にかかわり,壁の伸縮や菌の定着などの機能に関連していると考えられている.細胞壁ペプチドグリカンに結合した細胞壁テイコ酸のほか,細胞質膜の糖脂質に結合したポリテイコ酸も知られている.[CAS 9041-38-7]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報