タテフエダイ(読み)たてふえだい(英語表記)brownstripe snapper

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タテフエダイ」の意味・わかりやすい解説

タテフエダイ
たてふえだい / 縦笛鯛
brownstripe snapper
[学] Lutjanus vitta

硬骨魚綱スズキ目フエダイ科に属する海水魚。三浦半島、和歌山県串本(くしもと)町付近の太平洋沿岸、沖縄諸島以南の南西諸島、台湾の海域、南シナ海の中国沿岸、セイシェル諸島、マーシャル諸島など西太平洋、インド洋に広く分布する。体はやや高い楕円(だえん)形からすこし細長いものまであり、体高は体長の3分の1以上。頭部背面の傾斜は強くない。眼下幅は眼径におよそ等しい。体の背方の鱗列(りんれつ)は側線上方で斜め上方に向かう。側線鱗は49枚以上。尾びれの後縁はわずかに湾入するか截形(せっけい)(後縁が上下に直線状)である。体は背側面が褐色で、腹側面と腹部が白色または桃色。体側に狭い褐色の水平線が1鱗列に1本走る。最大の全長は約40センチメートルで、普通は25センチメートルのものが多い。サンゴ礁近辺の水深10~40メートルで、単独または30個体ほどからなる群れで生息する。魚類甲殻類、底生無脊椎(むせきつい)動物などを食べる。20センチメートルほどで成熟する。ニュー・カレドニアでは一年中産卵するが、春~夏に盛期がある。一本釣り、定置網などで漁獲される。刺身、塩焼き、煮つけなどで賞味される。近縁種ヨコスジフエダイとは前鰓蓋骨(ぜんさいがいこつ)の後部下縁に小さい鱗(うろこ)があること、側線鱗が49枚以上であること、体側中央に生涯黒斑(こくはん)がないこと、分布域が異なることなどで区別できる。

[尼岡邦夫 2018年3月19日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例