セーターティラート(英語表記)Sethathirat

改訂新版 世界大百科事典 「セーターティラート」の意味・わかりやすい解説

セーターティラート
Sethathirat
生没年:1534-71

メコン川のタイ人と呼ばれるラオ族がうちたてたランサン王国(14~18世紀)興隆期の青年王。在位1547-71年。ムアンサワ(現,ルアンプラバン)の生れ。父は王国の版図を南ラオスに拡大し,シャン諸国と通商したポティサラ王,母はラーンナータイ王国の王女。12歳のときラーンナータイの国王としてチエンマイで即位した直後の1547年に父王が事故死し,両国に君臨するため9年間チエンセーンにあってビルマ(現,ミャンマー)と相対した。56年ビエンチャンを国都と定め,国寺タート・ルアンやエメラルド仏を収めるパケオ寺院を建立した。アユタヤと同盟を結んだため,新都がビルマに2度占拠されたにもかかわらず降服せず,アユタヤに援軍を送りカンボジアに出兵して,インドシナ各国の年代記に,父王の親友で平民のセン・スリンタクワンファー将軍とともに名をとどめた。71年カンボジア戦役中行方不明となり,死んだとされる。以後約10年間ランサンはビルマの支配下に入り,嫡子ノーケオ王の時代になって独立を回復した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報