日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジャマール・ザーデ」の意味・わかりやすい解説
ジャマール・ザーデ
じゃまーるざーで
Muammad‘Alī Jamāl-zāde
(1896―1997)
イランの小説家。立憲革命時代の著名な説教師を父にイスファハーンに生まれる。ベイルートで中等教育、スイス、フランスで高等教育を受ける。1931年以降ジュネーブに居を定めた。現代ペルシア散文、短編小説の先駆者と評される。1921年ベルリンで刊行した短編小説集『むかしむかし』で文壇に登場。俗語を豊富に駆使して文学の大衆化に努めた。レザー・シャー独裁体制下の20年間は沈黙を守り、1942年以降精力的な執筆活動に入り、長編小説『精神病院』(1942)、『復活の荒野』(1947)、『水道物語』(1948)のほか、多くの短編小説集を刊行した。
[黒柳恒男]