シロヒトリ(読み)しろひとり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シロヒトリ」の意味・わかりやすい解説

シロヒトリ
しろひとり / 白燈蛾
[学] Spilosoma niveum

昆虫綱鱗翅(りんし)目ヒトリガ科に属するガ。はねの開張60~70ミリメートル。体とはねはともに純白であるが、脚(あし)と腹部側面は赤色、腹部背面に黒紋列がある。後翅の横脈上に淡黒紋がある。日本各地および朝鮮半島、シベリア東部から中国に分布する。8~9月に出現し、よく灯火に飛来する。幼虫体長約60ミリメートルの黒色のケムシで、黒褐色の長毛に覆われ、クマケムシと俗称される。クワニワトコスグリのほか、スイバイタドリ、ギシギシ、タンポポなどいろいろな植物に寄生する。幼虫で越冬し、蛹化(ようか)の際は、体毛を混ぜた薄い繭をつくる。

[井上 寛]

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世界大百科事典(旧版)内のシロヒトリの言及

【ヒトリガ(灯蛾)】より

…体は黒く,長毛に覆われ,老熟したものが蛹化(ようか)の場所をさがすため,地上を歩く姿がイギリスではごくふつうに見られるので,woolly bearと呼ばれている。日本では,この種類はあまりおらず,日本でクマケムシと呼ばれている毛虫は,同じように雑草を食べるシロヒトリSpilosoma niveumの幼虫のことで,この種では,黒毛の先がヒトリガと違って白い。成虫は体翅とも純白で,腹部背面に黒紋を連ね,側面が赤い。…

※「シロヒトリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」