コラニ(英語表記)Madeleine Colani

改訂新版 世界大百科事典 「コラニ」の意味・わかりやすい解説

コラニ
Madeleine Colani
生没年:1866-1943

インドシナ考古学を開拓したフランスの女流考古学者。ストラスブールの生れ。1915-27年インドシナ地質調査局調査員。27年からフランス極東学院研究員となる。彼女の活動分野は初め古生物学であったが,考古学に転じ,1923年以来,H.マンシュイの指導を受けて遺跡の発掘調査に従事,26年よりベトナムのホアビン,ニンビン,ハナムの諸省の山塊を踏査し,33ヵ所の洞窟遺跡を発見,打製石器を中心としたホアビン文化の存在を明らかにした。また31-33年,ラオス北東チャンニン,ファパンの高原地帯で巨石群を調査し,金石併用期ないし金属時代の文化を明らかにして,大著《上部ラオスの巨石遺跡》(1935)を著した。彼女の関心は民族学にも及び,民族誌的材料によって考古学的遺物の解釈を行い,文化伝播の研究にも業績をあげた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のコラニの言及

【太陽】より

…(2)の型は古代エジプトにもあったが,東アジア,東南アジアでは金属器時代に盛んになったものらしい。例えばベトナムの青銅器時代から初期鉄器時代のドンソン遺跡の古式銅鼓における上部表面中央の星形は太陽を表し,周囲の人物や動物も太陽と同じ方向に回って,それぞれ太陽またはその属性を表し,銅鼓の側面に表された舟は,太陽を乗せた舟であるというコラニM.Colaniの説がある。日本でも,松本信広によれば福岡県珍敷塚(めずらしづか)古墳の壁画に描かれた舟は太陽の舟であるとされる。…

【ホアビン文化】より

…インドシナ半島を中心に,中国南部から島嶼(とうしよ)部に広がる石器時代文化。ベトナム北部,ハノイ南西のホアビンHoa Binh地方の石灰岩洞窟多数を,1926‐29年にフランスの考古学者コラニM.Colani(1866‐1943)が調査し,その出土品によって命名された。石器加工技術は旧石器的であるが,沖積世になっての産物とされ,中石器時代または新石器時代初期と考えられることが多い。…

【太陽】より

…(2)の型は古代エジプトにもあったが,東アジア,東南アジアでは金属器時代に盛んになったものらしい。例えばベトナムの青銅器時代から初期鉄器時代のドンソン遺跡の古式銅鼓における上部表面中央の星形は太陽を表し,周囲の人物や動物も太陽と同じ方向に回って,それぞれ太陽またはその属性を表し,銅鼓の側面に表された舟は,太陽を乗せた舟であるというコラニM.Colaniの説がある。日本でも,松本信広によれば福岡県珍敷塚(めずらしづか)古墳の壁画に描かれた舟は太陽の舟であるとされる。…

【ホアビン文化】より

…インドシナ半島を中心に,中国南部から島嶼(とうしよ)部に広がる石器時代文化。ベトナム北部,ハノイ南西のホアビンHoa Binh地方の石灰岩洞窟多数を,1926‐29年にフランスの考古学者コラニM.Colani(1866‐1943)が調査し,その出土品によって命名された。石器加工技術は旧石器的であるが,沖積世になっての産物とされ,中石器時代または新石器時代初期と考えられることが多い。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」