コチャバネセセリ(読み)こちゃばねせせり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コチャバネセセリ」の意味・わかりやすい解説

コチャバネセセリ
こちゃばねせせり / 小茶翅挵蝶
[学] Thoressa varia

昆虫綱鱗翅(りんし)目セセリチョウ科に属するチョウ。北海道より九州にわたり広く分布する普通種であるが、壱岐(いき)、対馬(つしま)、種子島(たねがしま)、屋久島(やくしま)および以南南西諸島には産しない。外国では朝鮮半島より記録され、また台湾でもごく近縁の種を産する。はねの開張は30~36ミリメートル程度。はねは茶褐色、白い斑点(はんてん)があり、裏面の翅脈が細く暗色を呈するのが、外見上の著しい特徴である。年2回または3回の発生、はねが茶褐色のセセリチョウでは春もっとも早く出現するもので4月からその姿をみる。幼虫の食草はタケ・ササ類で、幼虫は表面を内側にして葉を筒状に巻いて巣をつくり、葉の基部から中央の主脈を残して規則正しく食べていく習性があるので、筒状の巣は1本の主脈によってぶら下がった状態となり、野外で巣はたやすくみつけられる。蛹(さなぎ)になるときは、主脈を食い切って地上に落下し、落下した巣の中で蛹となる。越冬態は幼虫である。

白水 隆]


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