日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
グレゴリウス(歴史叙述者)
ぐれごりうす
Gregorius Turonensis
(538から540?―593/594?)
トゥールの司教、歴史叙述者。ガロ・ローマ系セナトール貴族の家門の生まれ。573年からトゥール司教に任命され、メロビング王国の内乱を身をもって経験した。若干の聖者伝のほか『歴史・十巻』を書き残した。一般に『フランク王国史』とよばれる書物で、メロビング時代のフランク王国の歴史の主要史料となっている。第1、2巻は天地創造から511年のクロービス1世の死までを、第3、4巻はグレゴリウスのトゥール司教就任後まもなくの575年ごろまでを、第5~10巻で彼の死のすこし前の591年までを取り扱う。多くの逸話を交えながら、文法的にかなり崩れた当時の卑俗ラテン語で書かれている。
[平城照介 2017年11月17日]
『兼岩正夫・臺幸夫訳『歴史・十巻』全2巻(1975~1977・東海大学出版会)』
[参照項目] |
|