日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
グリーン(Robert Greene)
ぐりーん
Robert Greene
(1558―1592)
イギリスの物語作家、劇作家。ケンブリッジ、オックスフォードの両大学に学んだのち、文筆だけを頼りに生き、放蕩三昧(ほうとうざんまい)の一生を送った。初めおもに伝奇的散文物語を書き、そのなかにはシェークスピアの『冬物語』に原話を堤供した『パンドストー』(1588)などが含まれる。戯曲ではロマンチックな喜劇を得意とし、『僧ベーコンと僧バンゲイ』(1589)など5編がある。彼はまた自伝的文章や世相観察の文章を小冊子で数多く発表している。そのなかの一つ、遺作となった『後悔万両知恵一文』(1592)には、シェークスピアを「他人の羽根毛で飾り立てた成り上がり者のからす」とののしっている箇所がある。
[冨原芳彰]