日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
クーン(Thomas Samuel Kuhn)
くーん
Thomas Samuel Kuhn
(1922―1996)
アメリカの科学史家。ハーバード大学で物理学を専攻、1949年博士号を受けてのち、科学史に転じた。母校、カリフォルニア大学、プリンストン大学、マサチューセッツ工科大学の教授を歴任。1962年『科学革命の構造』The Structure of Scientific Revolutionsにおいて、パラダイムと通常科学の概念によって科学革命を説明して有名となった。パラダイム概念は、そのあいまいさ、多義性を批判され、彼自身、1969年には撤回を表明したが、それとは関係なく、社会科学や一般思想界で広く用いられ、学問や社会体制を根本的に問い返し、新しい道をみつけようとするときに援用される。著書に『コペルニクス革命』The Copernican Revolution(1957)ほかがある。
[中山 茂]
『中山茂訳『科学革命の構造』(1971・みすず書房)』▽『常石敬一訳『コペルニクス革命』(1976・紀伊國屋書店/講談社学術文庫)』
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