ギンケンソウ(英語表記)Hawaiian silver-sword
Argyroxiphium sandwicense DC.

改訂新版 世界大百科事典 「ギンケンソウ」の意味・わかりやすい解説

ギンケンソウ
Hawaiian silver-sword
Argyroxiphium sandwicense DC.

ハワイ諸島の一部に特産するキク科メナモミ族の大型多年草。特異な外観からハワイの象徴的な稀産植物として,厳重な保護のもとに置かれている。マウイ島とハワイ島の火山溶岩原にだけ生じ,とくにマウイ島ハレアカラ火山の火口中の群落が有名である。葉は長さ20~40cmで剣状,根もとから多数が密につき株全体は球状をなす。葉の質は硬く,先端が鋭くとがり,銀色の軟毛におおわれている。銀剣草の名はこの葉の形状にもとづく英名の訳で,現地名はヒナヒナhinahina。芽生えから20年ほどたつと株の中心から高さ2mに達する巨大な花茎を伸ばし,黄褐色の頭状花を多数つけて花茎全体が円筒状となり壮観である。花茎も頭状花の柄や総苞も,葉と同様の銀色の毛におおわれている。

 ハワイに限らず隔離された大洋島には,しばしば大型で独特な形状のキク科植物がある。チリの太平洋上の離島フアン・フェルナンデス諸島には木本デンドロセリス,エクアドル領ガラパゴス諸島にはやはり木本のスカレシアがあり,小笠原諸島の母島にも木本キク科のワダンノキがある。また離島ではないがアフリカのケニア山周辺にはやはり巨大な花茎を伸ばすキオン仲間のジャイアント・セネシオが何種類もあって,特異な景観で知られている。
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