日本大百科全書(ニッポニカ) 「キッド(なめし革)」の意味・わかりやすい解説
キッド(なめし革)
きっど
kid
子ヤギやそれに類するもののなめし革であり、キッド・レザーの略称。羊皮より繊維の密度が大でじょうぶだが、子牛皮よりは粗である。表面(銀面)も子牛皮ほどではないが耐摩耗性もあり、優雅な感じがあり、柔軟でもある。高級靴の甲革や手袋、袋物などに用いられる。原皮の産地は、中央ヨーロッパ、中央アジア、インドなどが有名。二浴法クロムなめしによるものや、卵黄、オリーブ油、ミョウバンによる結合なめしのものをキッドといい、スマック・タンニンによるなめし革をモロッコ革、渋とクロムの結合したものをドンゴラ革とよび区別している。また、まだなめさない原皮、キッド・スキンの略称もキッドという。キッド製の靴や手袋のことをキッドと称することもあり、子ヤギや子カモシカをさすこともある。
[田中俊子]