ガン病棟(読み)ガンびょうとう(英語表記)Rakovy korpus

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガン病棟」の意味・わかりやすい解説

ガン病棟
ガンびょうとう
Rakovy korpus

ソビエト連邦生まれの作家アレクサンドル・ソルジェニーツィン長編小説。 1963年頃執筆を開始。 1966年に第1部,1967年に第2部が完成。この作品は,ヨシフ・スターリンの死,ラブレンティ・P.ベリヤの処刑,ゲオルギー・M.マレンコフ解任を経て,スターリン時代から「雪どけ」へと転換していく 1955年というソ連社会の激動期に時を設定し,中央アジアにあるタシケントの癌病棟を舞台に,死の恐怖に駆られながらも,なお生に執着するコストグロートフやルサノフら癌患者たち,その人々を取り巻く女医ドンツォワや看護師などを登場させて,ソ連社会の矛盾と否定的な面を鋭く摘発している。そのためソ連本国では発表が許可されず,国外で出版された。

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