ベリヤ(読み)べりや(英語表記)Лаврентий Павлович Берия/Lavrentiy Pavlovich Beriya

精選版 日本国語大辞典 「ベリヤ」の意味・読み・例文・類語

ベリヤ

(Lavrjentij Pavlovič Bjerija ラブレンチー=パブロビチ━) ソ連政治家グルジア出身。スターリン右腕として内務行政に活躍。スターリンの死後失脚、刑死した。(一八九九‐一九五三

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベリヤ」の意味・わかりやすい解説

ベリヤ
べりや
Лаврентий Павлович Берия/Lavrentiy Pavlovich Beriya
(1899―1953)

ソ連の政治家。ジョージア(グルジア)の出身。革命後の内戦期に反革命取締りの活動で名をあげ、同じジョージア出身のスターリンの信頼を得て、1920年代にジョージアの政治警察の実力者となった。1931年にジョージア共産党第一書記に就任、1934年にはソ連共産党中央委員に昇格した。スターリンは大粛清の総仕上げを行うために、前歴も不確かで中央では無名のベリヤを1938年内務人民委員に抜擢(ばってき)し、前任者エジョフとその配下の機関員に対する「粛清者の粛清」を実施させた。独ソ戦期も引き続きこのポストにあり、クリミア・タタール人その他対独協力の嫌疑をかけられた少数民族の集団追放を命じた。戦後、元帥、政治局員、副首相。1953年にスターリンが死去した時点でマレンコフ首相に次ぐ実力者と目されたが、その直後に実権を失った。反党・反国家的行為のかどで裁判にかけられ、同年末銃殺された。

[原 暉之]

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改訂新版 世界大百科事典 「ベリヤ」の意味・わかりやすい解説

ベリヤ
Lavrentii Pavlovich Beriya
生没年:1899-1953

ソ連邦の政治家。グルジア生れ。スターリン時代の大粛清の組織者の一人で,1917年に共産党入党後20年代は治安官僚としてグルジア,アゼルバイジャンで活躍した。31年グルジア共産党の第一書記に転じ,スターリンの庇護を得て34年に中央委員となった。38年末にエジョフのあとをついで内務人民委員となり,大粛清後の治安機関を握った。41年人民委員会副議長となり,第2次世界大戦中はその指導にあたり,元帥にも任命された。戦後,政治局員,収容所体制の最高責任者となり,軍事技術,とくにロケットや原爆の開発を行った。さらに東欧圏の治安組織をも指導下におさめた。53年のスターリン死後マレンコフ,モロトフとともに集団指導を行い,一定の自由化を打ち出したが,53年6月にスターリンへの〈個人崇拝〉の責任を問われて突然逮捕され,その年の末に裁判,銃殺が行われたとされている。これを機に,内務省機構は削減され,KGB(カーゲーベー)(国家保安委員会)が改組された。
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百科事典マイペディア 「ベリヤ」の意味・わかりやすい解説

ベリヤ

ソ連の政治家。ジョージア生れ。1917年共産党に入党。1920年代カフカスの秘密政治警察で活躍。1934年党中央委員,エジョフのあとをついで1938年―1945年内務人民委員となり大粛清を指揮。1946年党政治局員,副首相となり,1953年スターリン死後第一副首相としてマレンコフモロトフとともに集団指導を行ったが,政府転覆の容疑で処刑。これを機に内務省機構は削減され,KGB(カーゲーベー)(国家保安委員会)に改組された。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベリヤ」の意味・わかりやすい解説

ベリヤ
Beriya, Lavrentii Pavlovich

[生]1899.3.29. スフーミ,メルホウリ
[没]1953.12.23. モスクワ
ソ連の政治家。 1917年3月ボルシェビキに加入。 21年秘密警察の活動に従事。 31年グルジア,アルメニア,アゼルバイジャン3共和国の全警察権を一手に掌握した。 38年内部人民委員となり,I.スターリンの信任を得て,1930年代の血の大粛清の最後の担当者となった。 41年2月ソ連副首相,第2次世界大戦中は国家防衛委員会の一員として戦時国内治安対策を担当。 53年スターリン死後の権力闘争に敗れて失脚。 N.フルシチョフにより大粛清の最高の責任者として批判され,同年 12月死刑を執行された。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ベリヤ」の解説

ベリヤ
Lavrentii Pavlovich Beriia

1899~1953

ソ連の政治家。1930年代よりカフカースの治安機関と党で活動し,38年中央の内務人民委員となり,大粛清を終結させた。第二次世界大戦後は原子爆弾,ロケットの開発を担当,46年に政治局員となり,スターリンの死とともに第一副首相となり,改革的政策を推進したが,3カ月後,内務省を党と政府の上に置き,国家に反逆を企てたとして逮捕され,53年末死刑となった。

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世界大百科事典(旧版)内のベリヤの言及

【ソビエト連邦】より

…独裁者の死はソ連史に大きな変化を呼び起こすこととなった。ユダヤ人医師団事件はでっちあげであったと発表されたあと,今度はそれを明らかにしたスターリンの内相ベリヤが打倒され,次いでスターリンの指名した後継者マレンコフ首相が失脚した。党の実権を握ったのは,内戦時に入党した出稼ぎ農民の子フルシチョフであった。…

※「ベリヤ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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