カーンチープラム(英語表記)Kāñcīpuram

改訂新版 世界大百科事典 「カーンチープラム」の意味・わかりやすい解説

カーンチープラム
Kāñcīpuram

南インドのタミルナードゥ州北部,チェンナイ(旧マドラス)の南西約75kmにある都市で,ヒンドゥー教の七大聖地の一つ。人口15万2984(2001)。古くはパッラバ朝の都として栄え,現在ではサリーをはじめとする絹織物の名産地としても知られている。市内には多数のヒンドゥー教寺院があり,最も古いカイラーサナータ寺(8世紀初期)は南型建築の典型で,重層ピラミッド形の本殿と多数の柱をもつ前殿とからなる主建築を,内側に数十の小祠のある寺壁が囲み,正面に低い楼門が建つ。本殿外壁や小祠堂前面には多数の彫刻がある。ほぼ同様の構成のバイクンタ・ペールマール寺(8世紀中期)では,囲壁内側に一面に神話を浮彫している。囲壁のないムクテーシュバラ寺,マータンゲーシュバラ寺(8世紀後期~9世紀)の彫刻は生気に乏しくなる。バラダラージャ寺エーカーンバラナータ寺は,主要部がビジャヤナガル王国時代(16世紀)の改築で,壮大な楼門や複雑に彫刻された柱の並ぶ前殿が人目を引く。
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