日本大百科全書(ニッポニカ) 「カミエビ」の意味・わかりやすい解説
カミエビ
かみえび
[学] Cocculus orbiculatus (L.) DC.
Cocculus trilobus (Thunb.) DC.
ツヅラフジ科(APG分類:ツヅラフジ科)の落葉藤本(とうほん)。雌雄異株。枝や葉柄は白毛で覆われる。葉は互生し、広卵形で、全縁。3浅裂するものもある。7~8月ごろ葉腋(ようえき)からやや長めの花序を出し、小形の淡黄色の花を多数つける。萼片(がくへん)、花弁ともに6枚。雄花には6本の雄しべ、雌花には6枚の心皮がある。核果は黒藍(こくらん)色で粉白を帯びる。北海道南部、本州、四国、九州の山野にごく普通にみられ、アジアに広く分布する。根および茎は木防已(もくぼうい)と称され、利尿薬、鎮痛薬、解熱薬として用いられる。アオツヅラフジ、ピンピンカズラともいう。「カミ」は神、「エビ」はエビヅルのことといわれる。カミエビ属は約8種が東アジア、北アメリカ東部、メキシコ、アフリカに分布する。
[寺林 進 2019年9月17日]