カストロ(Raúl Castro Ruz)(読み)かすとろ(英語表記)Raúl Castro Ruz

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

カストロ(Raúl Castro Ruz)
かすとろ
Raúl Castro Ruz
(1931― )

キューバの政治家。長年にわたり最高指導者を務めたフィデル・カストロ実弟。オリエンテ州北部のビラン近郊に生まれる。ハバナ大学で学んだのち、兄のフィデルとともに反バチスタ独裁闘争に従事し、ゲリラ戦の指導者として優れた才能を発揮した。革命後は1959年10月革命軍事相に就任し、以来軍部を掌握している。国家評議会第一副議長、閣僚評議会第一副首相、キューバ共産党第二書記を兼任し、フィデルに次いでキューバでナンバー2の地位にあった。2008年病身のフィデルが職を辞し、ラウルは国家評議会議長に就任した。2011年には、キューバ共産党第一書記にも就任した。フィデルに比べてカリスマ性に欠けるが、軍人や若者の間での信望は厚く、その指導力は高く評価されていた。妻のビルマ・エスピンVilma Espin(1930―2007)はゲリラ戦争時代の同志で、党中央委員、キューバ婦人同盟議長であった。

[加茂雄三]

 2018年4月、ラウルは国家評議会議長を引退し、かわりにディアスカネルMiguel Diaz-Canel(1960― )が選出された。ディアスカネルは翌年公布の新憲法のもと大統領に就任、2021年4月にはラウルが共産党第一書記を退任したあとを受け、第一書記にも就いている。

[編集部 2021年10月20日]

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