オリバートウィスト(英語表記)Oliver Twist

改訂新版 世界大百科事典 「オリバートウィスト」の意味・わかりやすい解説

オリバー・トウィスト
Oliver Twist

イギリスの作家ディケンズ長編小説。1838年刊。孤児オリバーが社会の冷たい風や,彼をとり巻く悪人にもめげず,最後まで善良純真に生き抜く物語である。作者はこの小説で当時のイギリス社会の矛盾,特に貧民弱者への温かい心を忘れた貧民救済制度に対して,痛烈な怒りをユーモアでくるんで叩きつけた。何度も映画化され,ライオネル・バート作曲によるミュージカル《オリバー!》(1960)も人気を呼んだ。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のオリバートウィストの言及

【ディケンズ】より

…小学校程度の教育をやっと身につけると,あとはすべて独力で生活の資を稼ぎ,法律事務所の走使い,速記者,新聞記者としだいに社会の階段を登り,わずかな余暇は図書館での勉強と芝居見物に費やした。33年12月投稿した短編が雑誌に掲載されたことで自信をつけ,長編小説《ピックウィック・クラブ》(1837),《オリバー・トウィスト》(1838)で爆発的人気を得,一躍文壇にデビューした。 以後作家として順調なペースでつぎつぎに小説を発表,長編としては《骨董屋》(1841),《ドンビー父子》(1848),《デービッド・コパーフィールド》(1850),《荒涼館》(1853),《リトル・ドリット》(1857),《二都物語》(1859),《大いなる遺産》(1861),中編としては《クリスマス・キャロル》などが代表作として知られる。…

【ユーモア】より

…《吾輩は猫である》の著者漱石は,けっしてただ笑ったり,笑わせるだけの人ではなく,1905年東京帝国大学での18世紀英文学講義(後に《文学評論》として公刊)の中で,〈ヒューマーとは人格の根柢から生ずる可笑味〉と断言した。堺利彦は〈ユーモアとは決してノホホンを意味するものではない〉と述べて,積極的な社会改革を説き,その実践活動の一つとしてディケンズの《オリバー・トウィスト》の翻案《小桜新吉》(1911)を発表している。【小池 滋】。…

※「オリバートウィスト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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