オオウキモ(英語表記)Macrocystis pyrifera(L.)C.Ag.

改訂新版 世界大百科事典 「オオウキモ」の意味・わかりやすい解説

オオウキモ (大浮藻)
Macrocystis pyrifera(L.)C.Ag.

長さ50~60mにもなる世界最大の褐藻コンブ科の海藻。ジャイアント・ケルプgiant kelpともいわれる。体は根,茎,葉の区別が明瞭で,分枝をもつ糸状の根がからまるようにしてできた塊状の付着部から,比較的細い円柱状の弾力性のある茎が長くのびる。茎は基部付近で2~数回叉(さ)状に分岐し,なぎなた状の葉を多数偏生する。葉は葉柄の部分にガスを含む気胞をもつので,体は海水面に向かって伸び,上部は水面に漂い,いわゆる林冠を形成する。茎は生長するにつれてよれるので,葉は互生のように見える場合もある。南北アメリカ大陸の太平洋沿岸,オーストラリア・ニュージーランド南岸,アフリカ大陸南岸に分布する。海中で大規模な海中林を形成し,魚介類のよい生息場を提供している。アメリカでは刈り取ってアルギン酸原料に使用する。
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世界大百科事典(旧版)内のオオウキモの言及

【褐藻類】より

…最も高度に分化した体制の褐藻はホンダワラ類で,根より直立する茎には葉が叢生(そうせい)し,茎の先端部には茎を直立させる働きをもつ気胞がある。コンブ科のコンブ類やオオウキモ類の体は分化の程度はホンダワラ類よりやや劣るが,体内には高等植物の師管に似た構造があり,光合成により体の先端部につくられた栄養分がここを通って基部に移動することが確かめられている。なお南北アメリカ大陸の太平洋沿岸,オーストラリア南岸および南アフリカ南岸などに生育するオオウキモは世界最大の褐藻で長さ60mにも達する。…

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