オイゲンサボイ公(英語表記)Prinz Eugen von Savoyen

改訂新版 世界大百科事典 「オイゲンサボイ公」の意味・わかりやすい解説

オイゲン[サボイ公]
Prinz Eugen von Savoyen
生没年:1663-1736

オーストリア名将パリに生まれたがルイ14世に冷遇され,1683年ドイツ皇帝軍に入る。ハプスブルク家ウィーンで重用され,軍の改革を進め,オスマン帝国ウィーン包囲(1683)を撃退するなど,2度の対トルコ戦争で全ハンガリーを確保し,スペイン継承戦争にも各地で勝利し,外交上もイギリスとの同盟を推進した。啓蒙主義からの自由な思想とトルコ,ことにフランスに対する武名により,ドイツ人からも英雄視され,民謡にまで歌われる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のオイゲンサボイ公の言及

【オーストリア・トルコ戦争】より

…1606年の条約では領土関係に変更は加えられなかったが,年金支払いの義務は廃止された。トルコの軍事的劣勢を決定的にしたのは83年のウィーン攻囲失敗後で,サボイ公オイゲン指揮のオーストリア軍は南進してティサ河畔のゼンタの戦で大勝利をはくし,カルロビツ条約でついにオスマン帝国はハンガリー,トランシルバニアを放棄した。政治的には84年オーストリア,ポーランド,ベネチアによる対トルコ神聖同盟が結成され,87年にはロシアがこれに加わり,さらに英仏の利害もからんで,戦争のたびにトルコ領分割の方式がヨーロッパ外交の重要問題になった。…

※「オイゲンサボイ公」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」