日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ウォーナー(William Lloyd Warner)
うぉーなー
William Lloyd Warner
(1898―1970)
アメリカの文化人類学者。カリフォルニア大学、ハーバード大学卒業後、シカゴ大学教授となる。最初はイギリスの機能的社会人類学の手法を用いてオーストラリアの先住民社会を研究したが、やがてその人類学的方法をアメリカの都市コミュニティの調査研究に応用し、多数の地域研究を発表した。その特色は、第一に、地域住民の日常生活の客観的様式とその社会的威信に対する相互評価を指標として、地域社会の階層構造を分析する方法論を提示したことにある。これは、生産関係における階級対立を明らかにしようとするマルクス主義的階級理論に対して、社会関係における連続的、統合的な地位序列構造を明らかにする成層理論であり、日本の階層構造の研究にも多大の影響を及ぼした。第二に、労使関係やストライキを経営管理機構の内部問題に限定してみるのでなく、地域を超える資本の統轄機能や地域内の階層構造の変動との関連でみる新たな産業社会学の視点を確立した。主著に『ヤンキー・シティ・シリーズ』(1941~1947)、『アメリカの社会階級』(1949)などがある。
[杉 政孝 2018年11月19日]