日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ウァレンティニアヌス(3世)
うぁれんてぃにあぬす
Valentinianus Ⅲ
(419―455)
西ローマ皇帝(在位425~455)。コンスタンティウス3世とガッラ・プラキディアGalla Placidiaとの間の子。初めはプラキディア、ついで将軍アエティウスの手に帝国の実質上の支配権があり、自立後も両者の影響力は強かった。テオドシウス2世の娘エウドクシアをめとってビザンティン帝国との友好関係を保ち、敬虔(けいけん)な君主として属州教会に対するローマの司教の優位性を認める一方、アフリカ、ブリタニア、スペイン、ガリアの治安維持に腐心し、各種の立法により、統治、防衛組織を整えた。454年、フン人に勝利を収めたアエティウスを暗殺したため、翌年その家臣に復讐(ふくしゅう)されて、殺された。
[長谷川博隆]