イ・グァンス(李光洙)(読み)イ・グァンス(英語表記)Yi Kwang-su

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イ・グァンス(李光洙)」の意味・わかりやすい解説

イ・グァンス(李光洙)
イ・グァンス
Yi Kwang-su

[生]李太王29(1892).2.1. 平安北道,定州,葛山面益城洞
[没]?
朝鮮の作家。号,春園。朝鮮近代文学の祖。日本の明治学院中学部を卒業後,帰国して郷里の五山学校の教員となり,1915年再び日本に留学,早稲田大学で哲学を専攻。 17年東京にあってソウルの『毎日申報』に朝鮮で最初の近代的長編無情』を連載。 19年に三・一運動の推進者となり,東京留学生の独立宣言書 (二・八独立宣言書) を作成。のち上海に亡命して,大韓民国臨時政府の機関紙『独立新聞』を編集。 22年帰国し,『民族改造論』を発表して物議をかもした。 26年『東亜日報』編集局長,33年『朝鮮日報』副社長。『再生』 (1924) ,『土』 (32) ,『有情』 (35) など多くの作品を発表。トルストイのキリスト教的人道主義に影響されて,理想主義的,民族主義的色彩が濃厚であったが,38年修養同友会事件で日本の警察に検挙されて変節し,朝鮮文人協会会長となったり,香山光郎と創氏改名して日本軍国主義に協力した。 45年解放とともに指弾され,朝鮮戦争中の 50年9月北朝鮮に拉致された。すでに死亡したといわれる。

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