イワン(3世)(読み)いわん(英語表記)Иван Ⅲ/Ivan Ⅲ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イワン(3世)」の意味・わかりやすい解説

イワン(3世)
いわん
Иван Ⅲ/Ivan Ⅲ
(1440―1505)

モスクワ大公(在位1462~1505)。「大帝」ともよばれる。ワシリー2世Vasilii Ⅱ(1415―1462、在位1425~1462)の長男として生まれる。治世の間にノブゴロド(1478)をはじめ、ロストフヤロスラブリトベリチェルニゴフなどの諸公国をあわせて、ロシア国土の統一を成就した。優れた軍略によってタタール・ハン軍をウグラ川河畔に破り、タタールの支配に終止符を打った(1480)。ビザンティン帝国最後の皇帝コンスタンティノス11世の姪(めい)ソフィアZoe Sophia(1503没)との結婚(1472)を通じてビザンティン的な儀式や君主観を受容し、初めて「ツァーリ」の称号を用い、独立国君主たる権威を示した。士族を登用し、行政機構を整えた。農民の移動を秋の一定時期に限定する条項を含む全国的な法典を編纂(へんさん)した(1497)。

[伊藤幸男 2022年5月20日]

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