アミロイドPET(読み)あみろいどぺっと

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アミロイドPET」の意味・わかりやすい解説

アミロイドPET
あみろいどぺっと

アミロイドを画像化する方法の一つ。アルツハイマー病発症の原因とされる脳内のアミロイドβ(ベータ)タンパク質蓄積のようすをPETを用いて観察・測定する方法である。これまでの研究で、アルツハイマー病発症に至る前に、アミロイドβタンパク質の脳内蓄積が始まり、これに並行して脳に老人斑(はん)が現れ、神経原線維変化を伴って神経細胞が侵されることが明らかになった。神経細胞死の段階でアルツハイマー病を発症することが多いとされるが、アミロイドPETでは老人斑が認められる段階での検出が可能で、たとえば認知障害の人に老人斑がある場合はアルツハイマー病が強く疑われる。また軽度認知障害(MCI:mild cognitive impairment)とともに老人斑が現れた場合は、近い将来にアルツハイマー病に移行する疑いが強くなる。しかし、2014年(平成26)時点でアルツハイマー病発症を遅らせる方法はみつかっておらず、また、老人斑があっても認知障害を伴わない人がアルツハイマー病へ移行していく過程も明確になっていない。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例