日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
アダム(Robert Adam)
あだむ
Robert Adam
(1728―1792)
18世紀後半に活躍したイギリスの建築家。スコットランドの建築家ウィリアム・アダム(1689―1748)の子で、4人兄弟そろって建築家だが、この次男のロバートがもっとも有名である。彼は古典古代の建築に深い関心をもち、1750年以降ポンペイ、ヘルクラネウムの遺跡を踏査し、さらに1757年には現クロアチア、アドリア海に臨むスプリトに残るローマ皇帝ディオクレティアヌスの宮殿を実測調査して、1763年その成果を公刊した。また、兄弟は協力してロンドンに建築事務所を開き、主として貴族階級を対象に、高級な邸宅の新築、改築を数多く手がけた。その様式はアダム・スタイルとして人気をよび、イギリスの新古典主義を代表するものとなった。ロンドンのケンウッド・ハウス、サイオン・ハウス、オスタリー・パークなどの大邸宅は、いまもその様相を残している。なお、銀器、家具などのデザインも行っている。
[友部 直]