日本大百科全書(ニッポニカ) 「めまい(映画)」の意味・わかりやすい解説
めまい(映画)
めまい
Vertigo
アメリカ映画。1958年作品。監督アルフレッド・ヒッチコック。仕事上のトラウマから警察を辞めたジョン(ジェームズ・スチュアート)は、旧友に妻マデリン(キム・ノヴァクKim Novak、1933― )の尾行を頼まれた。彼女を追ううち二人はひかれあうが、彼女は、不遇の死を遂げた祖先の女性の行動をなぞるかのように死んでしまう。彼女を忘れることができない彼の前に、彼女と瓜二つのジュディ(ノヴァク二役)が現れる。高所恐怖症によるめまいと犯罪が巧みに絡みあうストーリー、そのなかに男と女双方の愛の想いの深淵(しんえん)が立ち現れる。ヒッチコック作品のなかでも神秘的な雰囲気に包まれ、評価がさらに高まってきた傑作。原作はピエール・ボワローPierre Boileau(1906―1989)とトマ・ナルスジャックThomas Narcejac(1908―1998)のコンビによる『死者の中から』。タイトルおよび作中のアニメーションのデザインはグラフィック・デザイナーのソウル・バスSaul Bass(1920―1996)。
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