ひ(仮名)(読み)ひ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ひ(仮名)」の意味・わかりやすい解説

ひ(仮名)

五十音図第6行第2段の仮名で、平仮名の「ひ」は「比」の草体から、片仮名の「ヒ」は「比」の旁(つくり)からできたものである。万葉仮名には2類あって、甲類には「比、必、卑、賓、嬪、避、臂、譬(以上音仮名)、日、氷、飯、檜(以上訓仮名)」、乙類には「非、悲、斐、肥、飛、彼、被、秘、妃(以上音仮名)、火、樋(以上訓仮名)」などが清音に使われ、濁音仮名としては、甲類に「妣、婢、鼻、弭、彌、寐(以上音仮名のみ)」、乙類に「備、肥、飛、眉、媚、縻(以上音仮名のみ)」(「肥、飛」は清濁両用)、ほかに草仮名としては「(比)」「(飛)」「(日)」「(悲)」などがある。

 音韻的には/hi/(濁音/bi/、半濁音/pi/)で、硬口蓋(こうがい)無声摩擦音[ç](両唇有声破裂音[b]、両唇無声破裂音[p])を子音にもつ。上代では甲乙2類に仮名を書き分けるが、これは当時の音韻を反映したものと考えられる。

[上野和昭]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例