デジタル大辞泉
「さね」の意味・読み・例文・類語
さ‐ね[副]
[副]
1 (奈良時代は、あとに打消しの語を伴って)少しも。決して。
「さ寝る夜は多くあれども物思はず安く寝る夜は―なきものを」〈万・三七六〇〉
2 本当に。必ず。
「行きてみてあすも―来むなかなかにをちかた人は心おくとも」〈源・薄雲〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
さ‐ね
〘副〙
① 自分の言うことに
嘘偽りはないということを強めていう語。下に
否定の語を伴う。本当に(…でない)。絶対に(…でない)。
※催馬楽(7C後‐8C)
桜人「言をこそ 明日ともいはめ
遠方(をちかた)に 妻ざる夫
(せな)は 明日も左禰
(サネ)来じや」
② 自分の言うことに嘘偽りはないということを、肯定的に強めていう語。必ず。まちがいなく。
※
源氏(1001‐14頃)薄雲「行きて見てあすもさね来むなかなかにをちかた人は心おくとも」
[
補注]早くから
歌語となったものらしく、
散文に用いる例はまれである。
さ‐ね
(尊敬の助動詞「す」の未然形に
助詞「ね」の付いたもの) 動詞の未然形に付いて、敬意を含んで相手にそうしてほしいと
希望・注文する気持を表わす。…してください。
※
古事記(712)下・
歌謡「天飛ぶ 鳥も使ひそ
(たづ)が音の 聞こえむ時は 我が名問は佐泥
(サネ)」
さ‐ね
※
滑稽本・
浮世風呂(1809‐13)前「醴
(あまざけ)でも呑せるくらゐな事さネ」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報