おうじゃく

精選版 日本国語大辞典 「おうじゃく」の意味・読み・例文・類語

おう‐じゃく ワウ‥【尩弱・尫弱・弱】

〘名〙 (形動ナリ・タリ)
① 弱いこと。〔日葡辞書(1603‐04)〕
(イ) 体、体力、気力などが弱いこと。かよわいこと。ひよわいこと。弱々しいこと。
※家伝(760頃)下「幼喪其母、血泣摧残、漿不入口、幾将滅性、自茲尫弱、進趣饒病」
※古今著聞集(1254)一六「馬允なにがしとかやいひける老者、〈略〉尩弱の体にて、物くひてゐたりけるが」 〔謝霊運‐謝封康楽侯表〕
(ロ) 威力、勢力、影響力などが小さいこと。
※吾妻鏡‐文治三年(1187)一〇月三日「只近代使庁沙汰、逐日尫弱、偏如鴻毛
※信長記(1622)一上「まことに尫弱(ワウジャク)の家に生れ天下一統の功を立給ひし事」
(ハ) (弓などが)強くないこと。
平家(13C前)一一「尫弱たる弓をかたきのとりもて、〈略〉嘲哢(てうろう)せんずるが口惜ければ」
② 少ないこと。〔元和本下学集(1617)〕
(イ) 土地からの税の貢納が少ないこと。
※新札往来(1367)下「就弱所領、被抜群之課役事、難堪之至也」
(ロ) 物品、金額が少ないこと。
看聞御記‐永享七年(1435)一一月六日「抑笙筥一合 蒔絵摺貝 妙怤持参、〈略〉結構之物也、則令買得、其代尫弱也、不慮感得喜悦也」
③ 貧しいこと。貧乏であること。
※東寺百合文書‐へ・文保元年(1317)五月一七日・浄仏父子起請文「為弱土民身」
弱点、弱味があること。
高野山文書‐(年未詳)(室町)五月一七日・徳久書状「牛の事〈略〉在所をも不得尋候間、迷惑仕候。彼牛の事、此方よりはわうしゃく之儀なく候由申候へ共」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android