p型半導体(読み)ピーガタハンドウタイ

デジタル大辞泉 「p型半導体」の意味・読み・例文・類語

ピーがた‐はんどうたい〔‐ハンダウタイ〕【p型半導体】

不純物を加えて、価電子帯に生じる正孔せいこうによって電気伝導を行う半導体シリコン硼素ほうそガリウムを添加したものなどがある。→n型半導体

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化学辞典 第2版 「p型半導体」の解説

p型半導体
ピーガタハンドウタイ
p-type semiconductor

電気伝導にあずかる多数キャリヤーが,正の電荷をもつ正孔である半導体をいう.この正孔は,不純物や格子欠陥により発生したアクセプターから生じたものであり,またわずかな電子も少数キャリヤーとして存在している.高温ではアクセプター中の正孔はすべて出てしまうため,電気伝導は真性半導体のそれに近づく.また,InSbなどにみられるように,電子と正孔の移動度の比がきわめて大きい場合は,正孔が多数キャリヤーであっても室温付近における電気伝導はn型半導体のそれを示す場合がある.アクセプターとして添加する不純物は,母体半導体より元素周期表で一つ数の少ない族に属する元素を用いる.[別用語参照]n型半導体

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百科事典マイペディア 「p型半導体」の意味・わかりやすい解説

p型半導体【ピーがたはんどうたい】

半導体において,電荷を運搬する多数媒体が正の電荷であるもの。正(positive)の頭文字をとってp型と呼ばれる。n型半導体との組合せで利用される。真性半導体(4価)に,3価の不純物(アクセプター)を添加すると,正孔が増加するので,電荷を運搬する媒体として正孔が支配的になり,p型半導体となる。→pn接合

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「p型半導体」の意味・わかりやすい解説

p型半導体
ピーがたはんどうたい
p-type semiconductor

アクセプタ不純物を含むために,あるいはアクセプタ不純物もドナー不純物も含むがアクセプタ不純物のほうが数が多いために,アクセプタから正孔が価電子帯へ励起されて,価電子帯中の正孔の数が伝導帯中の自由電子の数より多い半導体。このため,p型半導体を流れる電流は主として正孔によって運ばれる。正孔が正の電荷 positive chargeをもつことからp型と名づけられた。半導体中でのp型とn型の接触部分であるp-n接合トランジスタダイオードなどの半導体素子に利用されている。

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