n型半導体(読み)エヌガタハンドウタイ

デジタル大辞泉 「n型半導体」の意味・読み・例文・類語

エヌがた‐はんどうたい〔‐ハンダウタイ〕【n型半導体】

不純物を入れて、負電荷をもつ電子によって電気伝導が起こるようにした半導体。ふつうシリコンゲルマニウム微量りん砒素ひそアンチモンなどを加えて作る。→p型半導体

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化学辞典 第2版 「n型半導体」の解説

n型半導体
エヌガタハンドウタイ
n-type semiconductor

電気伝導にあずかる多数キャリヤーが電子である半導体をいう.この電子の大部分は,室温において不純物や格子欠陥によるドナーから生じたものであるが,価電子帯からの直接の熱励起による電子およびそれと同数個の正孔もいくらか存在する.高温ではドナーから生じる電子は飽和してしまうため,電気伝導は真性半導体特性に近づく.また周期表12~16族化合物半導体の大部分にみられるように,真性半導体であっても正孔が正孔トラップにつかまって電気伝導にあずからないため,n型半導体としてふるまうものもある.ドナーとして添加する不純物は,母体半導体より周期表で一つ数の多い族に属する元素を用いる.[別用語参照]p型半導体

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「n型半導体」の意味・わかりやすい解説

n型半導体
エヌがたはんどうたい
n-type semiconductor

半導体の電気伝導を支配するキャリア (担体) として電子および正孔の双方が関与しうるが,特にキャリアが電子である半導体をいう。nとは,金属との接触において,金属側を正,半導体側を負 negativeの電圧にしたとき,電流がよく流れるところから名づけられたが,おもなキャリアの電子の電荷が負であることにも一致する。不純物半導体としては電子を供与するドナーを入れた場合がn型になり,半導体の禁制帯中にドナー準位と呼ばれる不純物準位が形成される。低温ではドナー準位に束縛されていた電子は,温度上昇とともに伝導帯に熱的に励起され伝導に寄与するようになる。 (→真性半導体 , p型半導体 )  

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百科事典マイペディア 「n型半導体」の意味・わかりやすい解説

n型半導体【エヌがたはんどうたい】

半導体において,電荷を運搬する多数媒体が負の電荷であるもの。負(negative)の頭文字をとってn型と呼ばれる。p型半導体との組合せで利用される。真性半導体(4価)に,5価の不純物(ドナー)を添加すると,負の電荷である電子が増加するので,電荷を運搬する媒体として電子が支配的になり,n型半導体となる。→pn接合

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