S-アデノシルメチオニン(読み)アデノシルメチオニン

化学辞典 第2版 の解説

S-アデノシルメチオニン
アデノシルメチオニン
S-adenosylmethionine

塩化物:C15H23ClN6O3S(434.90).微生物,動物,植物界に広く分布し,生体内ではATPL-メチオニンから酵素により合成される.活性メチオニンともよばれ,メチオニン部分とアデノシン部分を結ぶメチルスルホニウム結合は,高エネルギー結合であり,メチル基転移反応に広く関与している.また,アミノ基部分のプロピルアミノ基の転移によるポリアミンの合成にも関与している.塩化物は酵母からも抽出され,pH 4~6で冷時安定である.分解点118~122 ℃.+32°(水).λmax 260 nm(水).水に可溶,メタノールに難溶.[CAS 29908-03-0]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のS-アデノシルメチオニンの言及

【高エネルギー結合】より

…生体物質の中で重要なものにはATP(アデノシン三リン酸)のピロリン酸結合,アセチルリン酸のアシルリン酸結合,ホスホエノールピルビン酸のエノールリン酸結合,クレアチンリン酸のグアニジンリン酸結合などリン酸化合物が多く,これらの物質(または結合)を特に高エネルギーリン酸化合物(または結合)という。しかしそのほかにもアセチルCoAのチオエステル結合,S‐アデノシルメチオニンのメチルスルホニウム結合などの重要な例がある。加水分解に伴う大きな自由エネルギー変化(ATP+H2O―→ADP+H3PO4のpH7における標準自由エネルギー変化は7.3kcal/molである)は化学的には,分子内の静電的反発と分解生成物の共鳴による安定化に由来する。…

※「S-アデノシルメチオニン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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