KYB(株)(読み)けーわいびー(英語表記)KYB Corporation

日本大百科全書(ニッポニカ) 「KYB(株)」の意味・わかりやすい解説

KYB(株)
けーわいびー
KYB Corporation

自動車や鉄道などの振動油圧で抑える油圧機器の大手メーカー。自動車や新幹線のほか、航空機、東京スカイツリー、関西国際空港、都道府県庁舎などに部品・装置を供給しており、主力の自動車向け緩衝装置(ショックアブソーバー)では国内シェアの5割超を握る。

 1919年(大正8)、発明家の萱場資郎(かやばしろう)(1898―1974)が創業した萱場発明研究所が前身。1935年(昭和10)に萱場製作所として創立し、社是として「独創開発の精神」を掲げる。戦時中は旧軍との関係が深く、零戦(ぜろせん)の主脚などを開発・製造した。1985年(昭和60)に社名カヤバ工業に変え、2015年(平成27)10月にはブランド名として普及していた「KYB」を社名とした(2022年、通称社名に「カヤバ株式会社」を採用)。本社は東京都港区浜松町(はままつちょう)。2022年(令和4)3月時点で、資本金276億4760万円、連結売上高3884億円、従業員数1万4472人。2018年、KYBとその子会社が少なくとも過去15年にわたって、地震の揺れを抑えるダンパー(免震・制振装置)の検査データを改竄(かいざん)し、改竄された装置が全国の庁舎、病院商業施設など1000か所以上で使用されていたことが発覚公共施設安全性日本のものづくりの信頼性を揺るがす社会問題に発展した。

[矢野 武 2019年4月16日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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