JT-60(読み)ジェーティーろくじゅう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「JT-60」の意味・わかりやすい解説

JT-60
ジェーティーろくじゅう

日本原子力研究開発機構の臨界プラズマ試験装置。 1985年完成。トカマク型の磁場閉じ込めによってプラズマを閉じ込め,高温加熱し,そのプラズマが重水素と三重水素であれば核融合を起こし,これにより発生するエネルギーが消費するエネルギーに等しい,いわゆる「臨界プラズマ」をつくるような温度と閉じ込め時間を実験することを目標として建設された。外部からの加熱なしで核融合反応が進む自己点火条件を満たす実験炉にいたる前の段階の炉で,ほぼ同時期につくられたアメリカ合衆国のプリンストン大学のトカマク核融合試験炉 TFTR;Tokamak Fusion Test Reactor (1997年運転終了) ,ヨーロッパ連合 EUJET (ヨーロッパトーラス共同研究施設 Joint European Torus) と合わせて世界の3大トカマクと呼ばれた。 1975年から設計が始まり,1978年から建設,1985年に実験を開始した。 1989~91年に容積を大きくする改造が行なわれ JT-60Uとなっている。

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世界大百科事典(旧版)内のJT-60の言及

【日本原子力研究所】より

…原子力に関する研究等を総合的かつ効率的に行い,原子力の研究,開発および利用の促進に寄与することを目的として,原子力基本法および日本原子力研究所法に基づき,1956年6月に設立された特殊法人。核物理学,原子炉化学,燃料・材料等に関する基礎研究や軽水炉等の安全性研究,高温ガス炉(高温工学試験研究炉〈HTTR〉が1998年9月に臨界予定),核融合に関する研究開発(臨界プラズマ試験装置〈JT-60〉が1985年4月に運転開始),放射線利用研究(大型放射光施設〈SPring-8〉が1997年10月に供用開始)まで幅広い研究活動を行っている。また,研究用原子炉を利用して放射性同位体を製造し供給するとともに,各種研修コースを設け原子炉技術者や放射線利用に関する技術者の養成訓練を実施している。…

※「JT-60」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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