IHI(株)(読み)あいえいちあい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「IHI(株)」の意味・わかりやすい解説

IHI(株)
あいえいちあい

日本有数の総合重工業会社。2007年(平成19)に石川島播磨重工業から現社名に変更した。石川島播磨重工業は1960年(昭和35)石川島重工業と播磨造船所合併して発足起源は、幕末の1853年(嘉永6)水戸藩が江戸・隅田(すみだ)川河口の石川島に開設した洋式造船所にさかのぼる。明治維新官営となったが、1876年(明治9)平野富二(とみじ)の個人経営となり、日本初の民営造船所として新発足。1889年に有限責任石川島造船所となった。同社はその後の発展過程で各種陸上機械部門に積極的に進出し、第二次世界大戦前にはその多角化した事業から、石川島飛行機製作所、石川島自動車製作所(現、いすゞ自動車)などが分離、独立していった。播磨造船所は1907年(明治40)に阪神地方の有力者の共同出資で設立され、1916年(大正5)鈴木商店に買収された。その後一時期、神戸製鋼所に併合されたが、1929年(昭和4)にふたたび独立するという経過をたどった。

 両社の合併は、機械部門に傾斜した石川島重工業と、造船部門に傾斜した播磨造船所の相互補完をねらったものである。合併後の石川島播磨は総合重工業企業としての地位を確立し、愛知県知多半島に100万トン級ドックを建設(2018年11月閉鎖)したほかブラジルシンガポールの合弁造船所をはじめ、海外事業も活発に展開した(ブラジルからは2016年に撤退)。近年航空宇宙・防衛産業分野で強みを発揮しており、航空機用ジェットエンジンでは日本でもトップの座を占めている。資本金1071億6500万円(2019)、売上高1兆4834億4200万円(2019年3月。連結ベース)。

[中村青志]

『石川島播磨重工業株式会社編・刊『石川島播磨重工業社史』全2巻(1992)』


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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