HIV感染と歯科治療

六訂版 家庭医学大全科 「HIV感染と歯科治療」の解説

HIV感染と歯科治療
(歯と歯肉の病気)

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、後天性免疫不全症候群(こうてんせいめんえきふぜんしょうこうぐん)AIDSエイズ)の原因です。このウイルスに感染すると、体を守る免疫系細胞であるヘルパーT細胞やリンパ球の一種であるCD4陽性細胞が感染して、免疫機能が障害されたり破壊が起こり、その結果、免疫不全が生じます。

 その初期症状は、かぜに似ていることもありますが、無症状に経過することも少なくありません。口のなかには、真菌であるカンジダによる感染が起こります。舌や頬の粘膜に白い(こけ)のような病変が生じます。また、歯肉には壊死(えし)潰瘍(かいよう)が起こり、疼痛、自然出血、浮腫(ふしゅ)などが生じます。症状は、急性壊死性潰瘍性(きゅうせいえしせいかいようせい)歯肉炎・歯周炎と極めて類似しているので、鑑別診断が不可欠となります。

 その後、発熱、体重減少、持続性の下痢などの症状(エイズ関連症候群)が現れます。病変が進行すると、カリニ肺炎カポジ肉腫悪性リンパ腫などが現れ、患者さんの多くは予後不良です。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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