H氏賞(読み)エッチシショウ

デジタル大辞泉 「H氏賞」の意味・読み・例文・類語

エッチし‐しょう〔‐シヤウ〕【H氏賞】

《「H」は基金の提供者平沢貞二郎頭文字から》日本現代詩人会がすぐれた詩集を発表した新人に贈る賞。昭和26年(1951)に創設

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「H氏賞」の意味・わかりやすい解説

H氏賞
えいちししょう

1951年(昭和26)H氏(のち詩人平沢貞二郎と発表)の寄託金によって現代詩人会(現、日本現代詩人会)に設けられた賞。その年度のもっとも優れた新人の詩集に与えられる。第1回は殿内芳樹(とのうちよしき)の『断層』に与えられ、その後、黒田三郎『ひとりの女に』(1955年度)、富岡多恵子返礼』(1958年度)、吉岡実(みのる)『僧侶(そうりょ)』(1959年度)、1960年代には黒田喜夫(きお)『不安と遊撃』(1960年度)、高良留美子(こうらるみこ)『場所』(1963年度)、石原吉郎(よしろう)『サンチョ・パンサ帰郷』(1964年度)、入沢康夫(やすお)『季節についての試論』(1966年度)、三木卓『東京午前三時』(1967年度)、鈴木志郎康(しろうやす)『罐製同棲(かんせいどうせい)又は陥穽(かんせい)への逃走』(1968年度)、石垣りん表札など』(1969年度)などが受賞している。1970年代には白石かずこ『聖なる淫者(いんじゃ)の季節』(1971年度)、粒来哲蔵(つぶらいてつぞう)『孤島記』(1972年度)、郷原宏『カナンまで』(1974年度)、清水哲男『水甕座(みずがめざ)の水』(1975年度)、荒川洋治『水駅(すいえき)』(1976年度)などが受賞している。1980年代には小松弘愛(ひろよし)『狂泉物語』、ねじめ正一『ふ』(ともに1981年度)、井坂洋子『GIGI』(1983年度)、鈴木ユリイカ『MOBILE・愛』(1986年度)、1990年代には高階杞一(たかしなきいち)『キリンの洗濯』(1990年度)、杉谷昭人(あきと)『人間の生活』(1991年度)、本多寿(ほんだひさし)『果樹園』(1992年度)、貞久秀紀(さだひさひでみち)『空気集め』(1998年度)が受賞。

[飛高隆夫 2019年2月18日]

 2000年代には河津聖恵(きよえ)『アリア、この夜の裸体のために』(2003年度)、相沢正一郎『パルナッソスへの旅』(2006年度)、野木京子『ヒムル、割れた野原』(2007年度)、杉本真維子(まいこ)『袖口の動物』(2008年度)などが受賞。2010年代には田原(ティアン・ユアン)『石の記憶』(2010年度)、石田瑞穂(みずほ)『まどろみの島』(2013年度)、岡本啓『グラフィティ』(2015年度)、十田撓子(とだとうこ)『銘度利加(めとりか)』(2018年度)などが受賞。

[編集部 2019年2月18日]

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