CTC装置(読み)しーてぃーしーそうち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「CTC装置」の意味・わかりやすい解説

CTC装置
しーてぃーしーそうち

列車集中制御装置centralized traffic control deviceの略称。一地点から広範囲な区間の多数の信号設備を遠隔制御し、列車運転を指令するための装置である。すなわち、ある線区の列車運転情報をCTC制御所に集中表示し、迅速、的確な指令業務を行うとともに、停車場における列車の運転進路を直接制御するシステムである。

土田 廣]

歴史

CTCの導入は、1927年ニューヨーク・セントラル鉄道に設備されたのがその始まりで、日本では1954年(昭和29)に名古屋鉄道小牧線の上飯田―犬山間20.5キロメートルに初めて導入された。国鉄(現JR)でも、1952年アメリカから研究用システムを購入し、58年伊東線来宮(きのみや)―伊東間15.7キロメートルで試験的に設備したことに始まり、62年横浜線東神奈川―八王子間42.6キロメートルへと続く。本格的なシステム化は、64年10月の新幹線開業に伴い東京―新大阪間515.4キロメートルの全線にわたってこれを設備したことといえよう。

[土田 廣]

システムの概要

CTCシステムは、中央設備、端末設備、およびこれらを接続する伝送回線によって構成されている(図A)。中央設備には、制御装置、集中制御盤、集中表示盤のほか列車ダイヤ記録装置、模写電信装置、集中電話装置などがあり、これらの装置を設け列車指令の業務を行うところをCTC制御所とよんでいる。一方、その線区内にある各停車場に設けられている継電連動装置は、制御装置を介して集中表示盤および集中制御盤に接続しているので、指令員は集中表示盤により、その制御範囲内にある全列車の運転状況を即時に把握しながら指令を行うとともに、集中制御盤により各列車に対する進路制御を直接行うことができる。

[土田 廣]

情報伝送方式

CTC制御所と各停車場との情報伝送には、時分割多重制御方式が採用されている。これは、送信側と受信側を同期して作動させることにより、一つの伝送路を時間的に分割し、必要な時間だけ送信側の条件と受信側の反応リレーを接続する方法である。受信側に被制御機器1R, 2R, 3R,……があるとき、これらに対応する制御スイッチS1, S2, S3,……を送信側に設け、双方の回転スイッチSおよびRを同期させることにより、順次各制御スイッチの位置を、被制御機器に伝達しようとするものである(図B)。この方式では、情報数の増加に対しても電源周波数や伝送機器を共用することができ、時分割に必要な同期調整のための装置が必要となるだけで、設備経費の面で利点がある。なお、時分割による情報伝送では、情報の発生から、その受信まで平均1/2サイクルの時間的遅れを生ずるが、実用上の支障はない。

[土田 廣]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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