7連邦管区(読み)ななれんぽうかんく/7れんぽうかんく

知恵蔵 「7連邦管区」の解説

7連邦管区

大統領に当選したプーチン大統領令によって、新しい管轄区画として7つの連邦管区を設けた。それぞれの連邦管区には共和国、州などの連邦構成主体が6〜18含まれる。またそれぞれに大統領全権代表が置かれ、中心都市が定められた。一方、地方の知事や共和国大統領には、それぞれの州や共和国内においては市町村長の任免権と地方議会の解散権を与えた。連邦管区導入の目的は、(1)大統領権限の実施の徹底、(2)連邦国家機関の活動の効率化、(3)国家機関の決定の遂行に対する管理の強化。エリツィン時代に大統領は共産党や民族派などの野党と闘うために、州知事や共和国大統領に大幅な権限を与えたが、その結果、州や共和国が中央を無視して勝手な行動をとるようになった。7連邦管区は、中央の指令や権限が届かなくなり、国家としての基本的機能が遂行できなくなりつつあることに対して危機感を抱いたプーチン大統領が、中央の決定や指令を貫徹させるために設けた新しい政治システムである。7つの連邦管区は、軍管区にほぼ一致している。

(袴田茂樹 青山学院大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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