3カイリ説(読み)さんカイリせつ(英語表記)three mile limit

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「3カイリ説」の意味・わかりやすい解説

3カイリ説
さんカイリせつ
three mile limit

領海幅員基線から測定して3カイリとする説。 1702年オランダ人バインケルスフークは領海の幅員を大砲の着弾距離とする着弾距離説を唱えて支持を得ていたが,82年にパリ駐在のシチリア王国大使館書記であったガリアーニ砲台の存在や大砲の着弾距離にかかわりなく,大砲の射程距離の技術的な限界と考えられる3カイリを領海の幅員とする説を唱え,アメリカやイギリスなどにより支持された。 19世紀後半にいたって,技術的に大砲の射程距離が3カイリを越えるようになっても,領海の拡張をとどめる意味で3カイリ説が支持された。この傾向国連海洋法条約が領海の幅員を 12カイリまでと規定するにいたるまで続いた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の3カイリ説の言及

【領海】より

…18世紀の初めオランダのバインケルスフークが沿岸からの大砲の着弾距離をもって領海の範囲とする説(着弾距離説)を唱えた。18世紀末には,当時大砲の射程距離の極限値と考えられていた3カイリを領海の幅とすることが主張された(3カイリ説)。19世紀には,イギリス,アメリカなどの主要な海洋国がこれに従い3カイリ説が最も有力であったが,それでも,領海3カイリが一致した慣行となることはなかった。…

※「3カイリ説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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