龍岡城(読み)たつおかじょう

日本の城がわかる事典 「龍岡城」の解説

たつおかじょう【龍岡城】

長野県佐久市にあった西洋式の城郭。江戸時代末期に龍岡藩の藩庁が置かれていた城。国指定史跡。五稜郭(北海道函館市)とともに日本に残る五芒星型の西洋式城郭の一つだが、五稜郭よりも小ぶりの城である。この城は、幕末の動乱期に龍岡を飛び地として領有していた三河奥殿藩(愛知県岡崎市)の藩主松平乗謨(大給恒)が同地に藩の拠点を移すために幕府の許可を得て1863年(文久3)に築城を開始し、1867年(慶応3)に完成した。開明派であった乗謨は、築城に際してフランスの稜堡の技術を取り入れて城を築いたが、同藩は陣屋格で城を持つ資格を有していなかったため、天守閣ほか防御施設をつくることができず、内郭の中央に藩主宅と政庁を設け、五芒星の凹部に正門、通用門、非常口の門を設けた。現在、同城は市立田口小学校の敷地などになっているが、稜堡式の石垣や水堀のほか、同小学校の校庭脇に櫓(やぐら)(御台所)が残っている。このほか、かつての同城の大広間が市内の時宗寺の本堂に、東通用口が同市内の成田山薬師寺の山門に、薬医門と塀が市内の個人宅に移築され現存している。また、かつての大手門の前に、佐久市歴史の里五稜郭であいの館が建っており、龍岡城に関する資料展示を行っている。JR小海線臼田駅から徒歩約20~30分(約1.7km)。◇竜岡城とも記述される。

出典 講談社日本の城がわかる事典について 情報

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