鼹鼠・土龍(読み)もぐらもち

精選版 日本国語大辞典 「鼹鼠・土龍」の意味・読み・例文・類語

もぐら‐もち【鼹鼠・土龍】

〘名〙
洒落本・客衆肝照子(1786)「もくらもちをみるやふにと、あっちへころころ、こっちへごろごろしているはへ」
② 人をののしっていう語。
人情本・柳之横櫛(1853頃)三「イヤハヤ噺せねへ土龍(モグラモチ)だぞ」
[補注]民衆の語源意識によって、動詞「もぐる(潜)」との類推でムグラモチから変化した語か。もともと方言あるいは俗語と意識されていたようである。

もぐら【鼹鼠・土龍】

〘名〙 モグラ科の哺乳類の総称体長約一〇~二〇センチメートル。地中生活に適応して体は円筒状、吻(ふん)が長くとがる。手は大きくシャベル状をなし、五本の頑丈なつめを備える。耳介はなく、目は皮下に埋まる。体毛はビロード状で、暗褐色ないし黒褐色。平地や低山の地下にトンネルを掘ってすみ、主に夜間活動してミミズ昆虫などを食べる。植物は食べないが土を掘るので農作物芝生に害を与える。ユーラシアと北アメリカに約一七属三二種が分布し、日本では、本州以南の各地にアズマモグラ・サドモグラ・コウベモグラなどが生息する。もぐらもち。むぐろもち。むぐらもち。むぐら。うぐらもち。うぐら。うごろもち。うぐろもち。田鼠(でんそ)。《季・夏》 〔物類称呼(1775)〕

むぐら‐もち【鼹鼠・土龍】

〘名〙 「もぐら(鼹鼠)」の異名。〔日葡辞書(1603‐04)〕
[語誌]ムグロモチが変化した語か。近世にはモグラをあらわす語としてはウグロモチが一般語であった。ムグラモチは、もともと江戸語で、近世前期には田舎のことばと意識されていたが、近世中期に文化の中心が上方から江戸に移ったことに伴いウグロモチにかわって用いられるようになった。

むぐろ‐もち【鼹鼠・土龍】

〘名〙 「もぐら(鼹鼠)」の異名。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
※俳諧・俳林一字幽蘭集(1692)下「辺二段の池水はよき〈探泉〉 むぐろもち行あとあかす秋の月〈松斉〉」

むぐら【鼹鼠・土龍】

〘名〙 =もぐら(鼹鼠)〔日葡辞書(1603‐04)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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