鼓膜穿孔(読み)こまくせんこう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鼓膜穿孔」の意味・わかりやすい解説

鼓膜穿孔
こまくせんこう

外耳道のもっとも奥にある鼓膜にできた孔(あな)で、先天性のものはほとんどなく、通常、後天性。もっとも多いのは急性中耳炎で、鼓室に膿(のう)が貯留し、その圧力で鼓膜がやぶける場合である。そのようになる前にメスで鼓膜を切開するのが治癒しやすい。このような穿孔は通常1週間以内にふさがる。しかし、ときに炎症が慢性化すると、穿孔が永久に残る。ついで多いのは外傷である。耳かきの器具で鼓膜をやぶくような直接的外傷のほかに、爆風平手打ち潜水など、気圧の急激な変化によるような間接的外傷によっておこることも少なくない。鼓膜穿孔が残っていると、外耳道から病原菌が中耳に直接侵入して中耳炎をおこしやすい。手術によって穿孔を閉じることを鼓膜形成術という。

[河村正三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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